交通事故死亡1名

松本清張の短編小説 『交通事故死亡1名』(副題は『十二の紐―赤い紐』)は、1967年2月に『小説新潮』へ掲載され、同年12月に短編集『死の枝』の一作として刊行されました。物語は、タクシー運転手・小山田晃がI街道で飲食店主・吉川昭夫を轢いてしまう事故を発端に、事故調査員・亀村友次郎が被害者の妻や目撃者への取材を重ねるうち、単純な事故の背後に潜む真相へ疑念を抱くという展開です。作者は警察署前の「本日の事故 死亡一名」という掲示板から「この事故死には犯罪が隠されているのではないか」と発想を得たといいます。1982年12月7日には日本テレビ系列の『火曜サスペンス劇場』でテレビドラマ化され、林隆三演じる小山田晃が服役後に復讐と真実究明へ奔走するストーリーへと脚色され、21.2%(ビデオリサーチ調べ)の高視聴率を記録しました。この作品は、日常に潜む社会の闇を鋭く描いた松本清張の推理小説として知られています。