高層の死角

森村誠一の長編推理小説『高層の死角』は、第15回江戸川乱歩賞を受賞した傑作です。物語は、東京竹橋のパレスホテルでオーナー社長・久住政之助が刺殺体で発見された事件を発端に、刑事・平賀高明らが「二重の密室」のトリックを暴き、容疑者の鉄壁なアリバイを崩していく過程を描いています。ホテル業界の内部事情や専門用語が事件の鍵を握る点が大きな特徴で、捜査線上に浮かんだ容疑者への憎悪から「捜査の鬼」と化す平賀の執念も見どころです。本作は1977年にNHK、1983年にテレビ朝日、2003年にTBS(棟居刑事シリーズ)でそれぞれテレビドラマ化されており、時代を超えて愛されています。なお、江戸川乱歩賞の選考では、応募総数110篇の中から夏樹静子『天使が消えていく』などと共に最終候補に残り、見事受賞を果たしました。