IG・ファルベンインドゥストリー

IGファルベンは、1925年にBASF、バイエル、アグファなどドイツの主要化学企業9社が合同して誕生した巨大トラストです。戦間期には世界の化学市場を支配し、合成ゴム「ブナ」の量産や人造石油開発などで国際競争力を誇りました。しかし、ナチス政権下では戦争協力を積極的に進め、アウシュヴィッツ強制収容所の隣接地に工場を建設して囚人を強制労働させたほか、大量虐殺に使用された毒ガス「ツィクロンB」を製造するデゲッシュ社を傘下に収めていました。第二次世界大戦後、独占禁止政策により解体が決定され、その清算は1952年に始まり、複雑な国際資本関係(スイスのIGケミーやアメリカンIG)を巡る争いを経て、2012年10月31日にようやく完了しました。この企業の歴史は、科学技術の進歩と戦争犯罪が密接に結びついた20世紀の負の遺産として語り継がれています。