時間

時間は、出来事や変化を認識するための基礎的な概念であり、日常的には「長さ」や「時刻」を指す一方、哲学や自然科学では出来事が生起する枠組みそのものを指します。その本質を定義することは難しく、古代の哲学者アウグスティヌスも「尋ねられない時は知っているが、尋ねられる時は知らない」と述べたことで知られています。

現代の計量では、国際単位系(SI)で唯一の時間単位であるが、1967年以降、セシウム133原子の遷移周波数(9192631770 Hz)に基づいて定義されています。日常的に使われる(7曜制)はバビロニア起源とされ、ユダヤ教・キリスト教文化を通じて世界に広まりましたが、フランス革命政府やロシア革命政府が10日や5日の週を導入しようとした時期もありました。

時刻の捉え方も文化によって異なり、ギリシア正教会やユダヤ・アラブ圏では「日没」が一日の始まりとされる一方、バビロニアや古代エジプトでは「日の出」が始まりとされていました。古代宗教では、ミルチャ・エリアーデが分析したように「聖なる時間」が周期的に現れ、新年の祭りは世界創造の再現として円環的・反復的な時間観を形成しました。

一方、ギリシャ神話のカイロス(一瞬)とクロノス(連続)に象徴されるように、時間の捉え方は多様です。仏教では「諸行無常」に基づく刹那滅の思想が展開され、キリスト教ではイエス・キリストの受肉と復活に基づく一回的・直線的な救済史観が示されています。このように、時間は測定可能な物理量であると同時に、人間の認識や文化、宗教と深く結びついた多面的な概念なのです。